子どもは野菜が嫌いで当たり前!幕内秀夫先生インタビュー

2014.01.22

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子どもの偏食Vol.2

「偏食(好き嫌い)」について、多くのお母さんが日々悩み、必死で工夫をしたり、胸を痛めたりしていることがわかった前回の記事を受けて、全国各地で子どもの食事について講演している管理栄養士の幕内秀夫先生に、お話を伺ってきました。なんと先生の著作によれば「子どもは野菜が嫌いで当たり前」とか…?目からウロコ&知れば毎日のごはんが楽になる、マクウチ流「子どものごはんの話」、始まりです!

「偏食の子」なんて、いない!?

――多くのお母さんが、子どもの偏食について悩んでいるようです

先生

まず理解してほしいのは、『偏食の子ども』なんて、この世に誰ひとりいません。『子どもの偏食に悩む親』が出てきたのは、昭和33年に始まった『栄養改善普及運動』で、6つの基礎食品をバランスよく食べないといけないと行政指導がなされてからのこと。そのせいで『野菜を食べないうちの子は偏食だ』と、お母さんたちが悩むようになったというわけです。

子どもは、食べるべきものを知っている。

――でも野菜を食べなかったら、栄養が偏るのでは?

先生

子どもは、いろんな食品があるなかで、ちゃんと優先順位を知って食べているので大丈夫。放っておいても、炭水化物や水分はきちんと摂る。食べないのは、子どもの嫌いな野菜としてよく名前の挙がるピーマンやネギのような野菜です。

ここで『子どもたちの好きな野菜、食べてくれない野菜』のランキングを見てみましょう。※(株)カゴメ調査2011年

子どもが好きな野菜

■好きな野菜

  • 1)とうもろこし
  • 2)じゃがいも
  • 3)えだまめ
  • 4)さつまいも
  • 5)きゅうり

『好きな野菜』ですが、これらは、いも・穀類・豆がほとんど。子どもにとって「安全」であり、「成長に必要なカロリーを効率よくとれる食品」です。

子どもが食べてくれない野菜

■食べてくれない野菜

  • 1)なす
  • 2)ピーマン
  • 3)しいたけ
  • 4)水菜
  • 5)オクラ

一方こちらは、緑色で香りの強いものばかり。一体ナゼでしょう?その理由の中に「子どもの野菜嫌い」の秘密が隠れています。

子どもは「目」と「鼻」と「口」を使って、本能で「安全」を判断している!

先生

子どもたちは、以下の3つのステップで『食べ物の安全性』を確かめています。

  • 1)まず「目」。たとえば「緑色」は、自然界ではまだ未成熟の証。緑のうちは虫や動物に食べられないよう毒を持っていて苦い物が多い。
  • 2)そして「鼻」。香りの強いものは避ける。緑でも香りのない野菜(キュウリ、レタスなど)は、子どもたちにもあまり嫌われていません。
  • 3)最後は「口」。すっぱいものや苦いものは腐っていたり、未成熟だったりするもの。『甘みは安全』なのです。

どうでしょう?『子どもの好き嫌いの理由』が見えてきますね。ちなみにこれらは、我々大人も生涯食べなくても何の問題もないものです。

必要なのは「食べなくていいもの」を見極めるチカラ

――では、子どもが欲するものをあげていればいいのでしょうか?

先生

いえ、今は親が注意しなければならない時代です。なぜなら子どもは『カロリーが多く、甘みの強い食べ物』という条件を満たした、砂糖・油がたっぷりの食品に騙されてしまうからです。

砂糖は、ソフトドラッグ。

砂糖は、ソフトドラッグ。

先生

砂糖はいわば“ソフトドラッグ”。自然の甘みと違い、お腹が減っていなくても欲しがるものだから肥満や虫歯の原因にもなります。いつか勝手に砂糖の味は覚えますから、わざわざ与える必要なんてありません。ホットケーキに野菜を隠して食べさせる…なんてレシピ本もありますが、あんなものはとんでもないですね。

世界一の長寿国日本。元気な人が食べてきたものは…

――先生がいわゆる『栄養教育』を疑い始めたきっかけは?

先生

山梨県で元気なおじいちゃん、おばあちゃんたちの食事を聞いたことがきっかけでした。長生きされているお年寄りの中に、栄養バランスを考えながら食事を摂っていた方は誰もいないでしょう。さらにその後、有毒物質の研究を始めて『子どもの嫌いなものはたいがい微量の毒をもったもの』だと気づいたことで、子どもの本能が持つ力を確信したのです。

大人になってもおっぱいを飲んでいる人はいない

――聞けば聞くほど納得ですが、幼い頃に野菜を食べないと“好きなものしか食べない大人”になりませんか?

先生

二十歳になっても、おっぱいを飲んでいる人はいませんよね。よほどのマニアは別として(笑)子どもが苦手とする野菜類は、大人になって成長が止まり、食べることに楽しみを見出すようになってからで充分です。

意識の高いお母さんこそ、今はつらい時代。

――先生のお話には、子どもの偏食に悩んでいるお母さんの救いとなる言葉がたくさんあり ますね

先生

まじめなお母さんほど苦しんでいますからね。『あれもこれも食べさせなきゃいけない』と焦り、伝統食を否定してきたジジババ世代との確執もある。世の中がこれだけ便利になったのに、子どもの食事がどんどん難しくなるなんて、おかしな話ですよね。

子どものための食事は作らなくていい!

子どものための食事は作らなくていい!

先生

お父さんとお母さんの食事を作ったら、そこから『子どもが食べたいもの』を食べれば、それでいい。基本はごはんと、おみそ汁です。『子どもが食べたくないものは、食べなくていいもの』なのだから。それに主食であるごはんをしっかり食べていれば、お菓子やジュースがほしいなんて言わなくなりますよ。

マクウチ流!新「まごはやさしい」

先生

子どもの食事に苦労しているのなんて、人類の長い歴史の中で、今この50年だけ。そう思えば気持ちも楽になるでしょう?ぜひ、マクウチ流・新『まごはやさしい』を覚えておいてください。『まずは ごはんで ははえがお やさいより さきに しろいごはんを いただきます!』すべてはそれに尽きます。それと、皆さん食事のことばかり気にしますが、子どもの成長や健康に大事なのは食事だけではありませんよ。たくさん外遊びして体を動かすことも重要です。

幕内先生、教えてください!

Q:最近、食べるのは「納豆とごはん」だけ…。

A:子どもは自分の必要なものばかりを「ばっかり食い」するもの。何の問題も起きていないし、悩むことは何ひとつないですね。まともなお子さんですよ。そのうちに他のものも欲しがるようになります。

Q:食べるものの8割がパンで、おかずをほとんど食べません。

A:食品業者の「砂糖と油の罠」にはめられていますねぇ。食パンは、砂糖と油タップリの「お菓子」です。3時のおやつならともかく食事がパンばかりというのはいただけません。今から主食はごはんに切り替えていきましょう。

Q:くだものが大好き。好きなだけ与えてもいいもの?

A:くだものは自然の甘みでミネラルや繊維なども豊富。悪いものではありません。ただ、体への吸収が早く消化が早いので腹持ちがせず、子どもには向きません。「たまのお楽しみ」として、旬の果実を時折味わう程度に留めましょう。

取材:田中青佳(1歳半の娘の育児に奮闘しながら、飲食や育児などの分野を中心に執筆するママライター&きき酒師。日本酒と人の笑顔を糧に、日々活動中。)