カバが迷子にならないのはウンチのおかげだった

2014.06.19

  • あそび
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せっかく足を運んでも「ゾウさんいるね」など、ただ見て終わってしまいがちな動物園。予備知識があれば、大人も子どもももっと楽しめるはず。そこで今回コトピクでは、今やすっかり北海道旅行の代表格となった「旭山動物園」にお邪魔し、飼育責任者である中田真一さんに「動物園をより楽しむためのポイント」をうかがってきました。現在3歳の男の子のお父さんでもある中田さん。子どもと一緒に楽しめそうなポイントをたくさん教えていただきました。第一回目となる今回は、アザラシ、カバ、オランウータン編です。

人間に興味しんしん、好奇心旺盛なアザラシ

アザラシ、オットセイ、アシカ…いったいどこが違うの?

「アザラシと、オットセイやアシカは一見よく似ていると思うのですが、2つ見分けるためのポイントがあります。まずひとつめは「泳ぎ方」。アザラシは“後ろのヒレ”を左右に振って閉じたり開いたりすることで泳ぐのですが、オットセイやアシカは“前ヒレ”を動かして泳ぐんです。ふたつめの違いは「耳」。アザラシの耳は、穴だけがあって耳たぶがないのに対し、アシカやオットセイには耳たぶもあります。」

死んだように仮眠するアザラシ

「本格的に寝たい場合は陸で眠るアザラシですが、泳ぎ疲れて少しだけ寝るような場合は、水中でそのまま眠ることがあります。プールの底に横向きで寝ている姿は、まるで死んでいるようで、“アザラシ死んでます!助けてあげてください!”とお客さんに言われることもよくあるんですよ。」

好奇心旺盛なアザラシを観察できるマリンウェイ

旭山動物園では、マリンウェイといわれる円柱水槽で、上下に行き来するアザラシを間近に見ることができます。これは、アザラシが哺乳類であり、息継ぎのために上下運動するという習性と、(ホームグラウンドである水中では特に)好奇心旺盛であるという習性を活かしてつくられています。訪れたお客さんが“自分の方が見られているような感覚に陥った!”というほど、アザラシはお客さんのことをよく観察をしているそうです。

「外の放飼場でもぐもぐタイム(※)が行われている間、館内にはアザラシはいないのですが、もぐもぐタイムが終わるとアザラシたちは館内に戻るので、そのタイミングを狙ってマリンウェイを見に行くと、混まずにゆったりと観察できるかもしれません。」
※エサやりの時間。実施する時間や動物は毎日変わるので、当日の朝にチェックして出かけると◎。

夜行性のカバはここを楽しもう

ウンチのおかげで迷子にならない?!

「カバは夜行性なので、日中ずっと水の中で過ごし、野生では夕方から夜にかけてエサ探しに出かけます。そして夜中じゅう草を食べて、朝方またもとの河に戻って来るのですが、その際、行きでまき散らして来た自分のウンチをたよりに歩くことで、無事に元の場所に帰ることができます。よく動物園で“カバのフンに気をつけてください”という注意書きがありますが、この習性から来ているんです。」

寝ているカバはここをチェックしてみよう!

「日中はほとんど水の中で休んでいるカバですが、5~6分程度であれば、息継ぎせず水の中にもぐっていられます。ときには、もっと長く水中で寝ていることもあるので、何分もぐっているか測ってみるのもおもしろいかもしれません。特に午前中は寝ていることが多いので、午前中に来館された場合は、ぜひチェックしてみてください。」

水中でのダイナミックな動きに釘づけ

旭山動物園のかば館では、透明なアクリル板の壁を通して、プールの横や底からカバを観察することができます。カバは夜行性で昼間はほとんど水中で休んでいるので、その習性を利用した展示の仕方となっています。

カバは午後から徐々に活動的になってくるのですが、だいたい午後3時頃にもっとも活発になるので、その頃の来館がおすすめです。

木の上では自由自在のオランウータン

本来は、地上では生活しないオランウータン

「動物園では地面でグデっと過ごしているイメージのあるオランウータンですが、実は野生では地上で過ごすことはほとんどなく、木の上でのみ生活をします。そのため、握力は300~400kgほどあるといわれていますし、指1本でも木にぶらさがっていられるほどの能力を持っています。旭山動物園での空中散歩では、“木の上から落ちてしまわないの?”といった心配の声をいただくことも多いですが、実はとてもオランウータンに優しい仕組みになっています。

冬場は館内での展示に切り替わりますが、そこでも、ところどころ棚のようなものはあるものの、床のない空間になっています。そのようなつくりにすることとで、オランウータンは地面では生活しないということを、伝えられたらと思っています。ちなみに同じ霊長類のチンパンジーは、地面と木の上、どちらも生活の拠点としていて、移動は地面に下りて行いますが、睡眠は木の上で行います。」

もともとの生態を知っているだけで、動物園のたのしみ方は格段に変わってきますね。今回のアザラシ、カバ、オランウータン編に続き、次回vol.2ではホッキョクグマ、ペンギン、キリン編をお送りします。思わずほほえんでしまうホッキョクグマの狩りの仕方とは?ペンギンは本当は足の長い動物だった…?ご期待ください!

協力・写真提供:旭川市旭山動物園 文:編集部